別冊モナリサ|被災地に届くボスニアからの笑顔 伊藤真司|WASEDABOOK










































「こどもおえかきプロジェクト」をはじめられた理由をお聞かせてください?

震災発生直後にクリエイターの仲間で、何か自分たちにできることはないか、ということで集まりました。

そこで震災の前年にチョークメーカーの日本理化学工業さんと、ご縁ができたこともあり、最初は被災地に物資支援として、画材を送ることを考えていました。

そうして、日々、被災地の状況が変わり物資支援も進んでいきました。

どこに支援すれば良いのか探しているときに、たまたま相談した方が阪神淡路大震災のボランティアをされた方から、次のようなアドバイスをいただきました。

「早く被災地に行き、自分の目で確かめること。この先、心のケアが必ず必要になるので、子どもたちとふれあい、一緒にお絵かきをするべきです」

そこで、物資支援から心のケアへと切り替え、最初に避難所になっているいわき市の小学校へお絵かきに、伺いました。

日本理化学工業(株):川崎のチョークメーカーで従業員の7割以上が知的障害者。ダストレスチョークのシェアは日本一。お絵かきにはガラスにも描ける水溶性チョークの「キットパス」を使用している。





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プロジェクトでは、どのような活動をなさっていますか?

被災地の子どもたちとのお絵かきとボスニア・ヘルツェゴビナの子どもたちの絵の展示です。

お絵かきとボスニアの子どもたちの絵の展示は、震災と原発事故を風化させないために、また活動のことを知っていただくために、関東でも行っています。


どんな子供たちの印象はどんな様子ですか?
どんな子供がいますか? どんな絵がありますか?

今まで被災地で8回お絵かきをしてきて感じたのは、子どもたちはとても元気にお絵かきするということです。

子どもとにとってお絵かきがこんなに楽しいものとは!と驚きました。

絵はテレビアニメなどキャラクターものが多いようです。
画材がガラスにも描けるチョークで、窓ガラスに描いたり、大きなボードに描いたりしましたので、みんなで一緒に広いところに絵を描くことで、気持ちが伸び伸びとするのかも知れません。

しかし、見方を変えるとストレスをお絵かきで発散しているとも言えます。
被災地では震災のストレスでうつ病の子どもが多いと聞いていますので。





ボスニアでも「こどもおえかきプロジェクト」を続けていますが、
ボスニアと東日本大震災の被災地がなぜ結びつくのですか?

ボスニア・ヘルツェゴビナとの関係ですが、ボスニア紛争後、日本からの支援(国と民間合わせて)が世界でも2番目の規模となっています。

しかも、民族に偏りがなく支援をしたことを、ボスニアの人たちは大変感謝しているそうで、とても親日的です。

そういった経緯があり、震災を知って「自分たちが助けられたから何か出来ないか」ということで、小学校の子どもたちが学校単位で励ましの絵とメッセージを描いてくれました。

それらはボスニアの日本大使館に届けられ、そのうちの約300点を預かりました。今もボスニアからの支援は続いています。




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帰還困難区域を撮影し続けていますね。
なぜですか

福島では、他の被災地と同じように津波による甚大な被害がありますが、それに加え、原発事故の被害はとても深刻です。

現在も事故収束の見通しは立っていませんし、放射能汚染は人々の生活や健康を奪い、国の対応はとても国民の命や生活を守っているとは思えません。

また、マスコミも福島の現状を採り上げる機会が少なくなり、風化させないために情報発信をしています。写真展示とともに講演も昨年から始めました。


今後の活動において、「フクシマ」をどのように捉えていますか?

福島という括りではありませんが、震災や原発事故を風化させることなく、将来を担う子どもたちのために、より良い環境を残して行くことが我々の役割だと思って活動を続けて行くつもりでいます。

またボスニア紛争のことにもふれ、戦争の悲惨さを訴えていきたいと思います。

もちろん、お絵かきやボスニアの子どもたちの絵の展示を続けますし、ボスニアとの交流や紹介も進めていきます。

2014年2月